エスカレーター の片側明けは禁止にすべきか?

2019年4月5日

エスカレーターの片側空けっていつから?

エスカレーターは特に珍しいものではなくなりました。

私が子供の頃は駅にエスカレーターなんてありませんでしたから、
広くて長い階段を少しでも楽に登るために、
父親のアドバイスで斜めに登ったりしてました。

それで楽になったかどうかは謎ですw

エスカレーターはどちらかというと、
デパートにあるというイメージが強いです。

コマーシャルでもエスカレーターに家族で乗って、
ショッピングをする光景が流れていました。

懐かしのCM

今では当たり前のエスカレーターも、
昔はそれほど普及されていなかったんです。

最近では、ゆっくり家族でショッピングをするための利用に限らず、
様々なシーンでエスカレーターが当たり前のように利用されてますが、
特に駅などでの利用で問題になるのが、
エスカレーターの片側通行です。

私も記憶が確かではありませんが、
いつしかエスカレーターは片側を空けることがマナーとなり、
右側(大阪などでは左側)を空けることがほぼ常識化しており、
空けてある片側に立っていると、
後ろから登ってこられた方に避けるように促されたりします。

しかし、よくよく考えてみると、
二人乗りのはずのエスカレーターを片側開けることにより、
一人分無駄になってしまうので、
実際には2列で隙間なく乗るよりも片側開けるほうが非効率です。

一部のエスカレーターを歩いた方だけが、
数秒時間を節約できる程度なので、
全体的にはかなり勿体無い使い方をしていることになります。

そうりゃそうですよね。

50名運搬できるのに25名しか乗せなければ、
単純に半数しか運べなくなりますよね。

エスカレーター片側空けはロンドンのマネごと

斗鬼 正一教授
(江戸川大学社会学部現代社会学科文化人類学・民俗学コース教授)の論文
「エスカレーター片側空けという異文化と日本人のアイデンティティ」には
このようにあります。

右側に立ち、左側を空ける片側空けが世界で初めて行われたのは
ロンドンの地下鉄駅といわれるが、
いつ、どんなきっかけで始まったのかは明確になっておらず、
1944年ころ混雑緩和のために公務員が思いついたという説が
挙げられているだけである。

斗鬼 正一教授「エスカレーター片側空けという異文化と日本人のアイデンティティ」より引用

混雑緩和のために始まった片側空けは、
マナーとなり世界に広まっていったそうです。

日本でエスカレーターの片側空けが始まったのは1967頃のことで、
大阪の梅田駅が最初だったらしいのですが、
それまで都市部を中心に設置されていたエスカレーターは、
片側空け自体が存在していませんでした。

梅田駅が進んで片側空けを推進したことには理由があるんです。

それは、大阪万博なんです。

敗戦ムードからようやく立ち直った日本は、
高度経済成長により世界に誇る経済大国になりましたが、
当時は外国人居住者や旅行客は少なかったこともあり、
海外に通用する設備も少なく、
それに伴うマナーも浸透していませんでした。

設備では駅に限ってもエスカレーターの他に、
洋式トイレやエレベーターなどは少なかったですし、
自動改札機は存在すらしていませんでした。

マナーについては、
駅のホームでの喫煙やタバコ、
ガムの投げ捨て、
つば吐きは当たり前で、
今では想像できないくらい日本は汚かったんですよ。

片側空け禁止の呼びかけ

ところが、いまになって、
エスカレーターの片側空けを禁止する声が出てきてるんですよ。

二列並んで乗ることを駅員が呼びかけたり、
エスカレーターは歩くように設計されていないので、
歩行禁止の注意書きがはられたりと、
にわかに片側空けこそマナー違反であるような流れができつつあります。

確かにラッシュ時、駅構内の混雑を緩和させるためには、
エスカレーターの片側空けはかなりの非効率ですし、
駅によってはエスカレーター待ちで長蛇の列ができているところもあります。

マナーとして空けたはずの片側が、
時代が変わってマナーによって禁止になるという皮肉なお話ですが、
私はどちらかに徹底するのは難しいような気がするんです。

理由はいくつかありますが、
特に代表的なものは以下のとおりです。

急いでいる人に歩くなというのはそもそも無理です。

急いでいる人に「歩くな」って言っても、
急いでるんですから止まれないですよね。

エスカレーターに限らず急いでいる人の多くは、
彼女とのデートに遅刻しそうなのか、
会社の始業時間に間に合わないのかはわかりませんけれども、
何らかの約束した時間に間に合わせるために急いでいるか、
とにかく急ぐのが好きなスピード狂かのどちらかだと思います。

この人達に歩かないでって言っても無茶な話で、
誰に何と言われようとも諦めないで急ぎますから、
エスカレータの片側が空いていなければ、
階段を駆け上がると思うんですよ。

歩いている人に歩くなと言っても、
片側空けがなくなることはないとおもいますが、
エスカレーターがびっしり詰まっていれば、
歩くことができなくなるので、
順番としては

「歩かないで」

よりも

「空けないで」

なのだと思っています。

しかし、これができないんですよ。

ラッシュ時以外の駅のエスカレーターや、
混雑のない平日のデパートのエスカレーターで、
行儀よく片側を空けて乗っている状況を見たことがあります。

混んでもいない、
歩いている人もいない、
それなのにきれいに片側を空けているという現象。

これは、多分見ず知らずの人と並ぶことに慣れていないからだと思うんです。

子供や若い女性の隣に、
私のようなおっさんが並んで乗ったらどうでしょう?

「1段ずれて」

って思いませんか?

きっと今の時代、見ず知らずの他人と並んで乗ることって、
できないと思うんです。

エスカレーターの片側空けをするようになって、
ずいぶん月日が経ってしまいましたから、
2列並んで乗ること自体が新たな挑戦項目になってしまったんですね。

2列で乗るように設計されたエスカレーターなのに、
2列で乗ることが新たな試みになる最大の理由は

「赤の他人と並んで乗るのは嫌」

だからだと思います。

家族連れで隣同士になるのは問題ないと思いますが、
赤の他人と隣同士で並ぶのはちょっと嫌だったり、
恥ずかしくないですか?

しかも、今は片側空いているのが普通になってしまっている中で、
勇気を出して赤の他人の横に立てますか?

その勇気ありますか?

中には平気な方もいらっしゃると思いますが、
多くの人が長いものに巻かれる感覚をお持ちでしょうから、
前の人に習って片側に乗ってしまうと思うんですよ。

そうなると、いつまで経ってもエスカレーターの片側空けは解決しないんです。

強制的に2列で乗る仕組みを作らない限り難しいと思うんす。

そもそもエスカレーター1人のりにすれば解決するのに。

そこで考えたのは、エスカレーターを1列タイプに変更する方法です。

既にスペースのない場所では一列用のエスカレーターってありますよね。

あのタイプであれば、

  • 1列だから片側空け自体ができません。
  • 1列だから知らない人と前後にはなっても隣同士になることはない。
  • 1列だから急いでても歩く事ができない。

というように、2列のエスカレーターを1列仕様2基にすれば、
一気に解決できちゃうような気がします。

実際に2人乗りエスカレーターと、
1人乗りエスカレーターが併設されている駅がありますが、
どちらのエスカレーターも1列で乗っていますw

この場合、両方のエスカレーターを一人乗りにして、
階段を広げたほうが無駄がなく効率的だと思います。

エスカレーターを歩けるくらい元気な人は、
是非階段を使っていただければと思います。

大体、エスカレーターの乗り方は、
登場した当初や後の時代のマナーによって作られて、
月日が流れて定着してしまいましたから、
今から変更するのは難しいと思うんです。

新たな1列型エスカレーターを作って、
はじめから歩けない仕様にすれば、
エスカレーターのパフォーマンスを最大限発揮できますし、
階段と併設すれば急いでいる人は階段を利用することになります。

きっと、新たなマナーを作るよりも近道だと思います。