間違った減塩ブームによる熱中症増加の可能性

2018年7月20日

solt

減塩はしてはいけない

「塩分を摂取しなさい」と語るのは、私が定期的に通院するクリニックの院長先生。

初めて知り合った時から、減塩をしてはいけない。

特に熱中症になりやすい夏場は、積極的に塩分を取ることを勧められています。

近所でも評判で、高齢者は口々に

「あの先生、塩分取れ取れってうるさいのよ」

とか

「テレビじゃ減塩っていってるから、正直あの先生信用できないのよ」

などと陰口を叩いていますが、私は、この先生をとても信頼していて、家族ぐるみでお世話になっています。

先生曰く、今の日本人は塩分が不足していて、様々な健康被害の原因になっていることが多いとのこと。

なので、意識して塩分を取るようにアドバイスを受けています。

普通の食生活ではなぜ塩分が不足してしまうのか。

一番の問題は、日本で1970年頃から始まった減塩ブーム。

高血圧の原因は塩分のとりすぎと言われていましたが、実は減塩によって血圧が下がる人は2〜3%程度で、他は塩の摂取とは関係ないことがわかっているそうです。

塩と言えば、伯方の塩!

その伯方の塩さんのサイトに詳しく載っていました。

塩豆知識

うちで愛用している日本海水にも詳しい説明があります。

塩と健康の関係

こちらでは、減塩で高血圧対策になるのは4割程度の人のみであり、
それ以外は、逆に減塩で健康に悪影響を及ぼす可能性があると書かれています。

減塩しても血圧は下がりません。

ぶっちゃけ、腎臓の悪い方や食塩感受性タイプの人以外は、減塩なんてなんの効果ありません。

間違って、広まってしまった減塩と血圧の誤解は、卵とコレステロールの誤解と同様、急いで改善すべきですが、卵のそれとは違い、検索をすると減塩を勧めるサイトのなんと多いことか・・・・。

ここで私が言っている塩というのは科学的に精製された塩化ナトリウムでも岩塩でもありません。

苦汁を程よく含んだ海水100%の塩のことを言います。

我が家では、炭酸カルシウムなどを配合してサラサラに精製された塩や、何が含まれているかわかったもんじゃない岩塩などは使っていません。

それでも、塩分の取りすぎはいかんだろ!

いえいえ。

私が、医師に聞いたところによると、普通、取りすぎた塩分は自然に排泄されるので、体に蓄積されるわけではないそうです。

熱中症で搬送される方や命を落とされる方が毎年多くいらっしゃいます。

気温が上昇していることが原因の一つであることも理解できますが、もう一つ気になることがあるんです。

そもそも、減塩ブームのせいで熱中症に対して体が対応できていないのではないか?

という疑問です。

熱中症死亡数年次推移
【引用】厚生労働省大臣官房統計情報部『平成27年我が国の人口動態 - 平成25年までの動向- 』

このデータは、1994年から2013年までの熱中症の死亡者数の推移です。

気候は毎年安定していないので(冷夏や猛暑、酷暑など)ばらつきはありますが、大まかに見ても増えていると見て取れます。

熱中症死亡者数
【引用】人口動態統計月報(概数)(平成29年9月分6~9月の熱中症による死亡者数 

こちらも、ばらつきがありますが、平成21年を除いて、年間約570人以上もの方々が熱中症でお亡くなりになっているのがわかります。

平成21年はエルニーニョ現象による日照不足で、6年ぶりの冷夏。

翌22年は、気象庁が30年に一度の異常気象と認めた猛暑で、25年の猛暑も気象庁が異常気象と認めています。

熱中症による救急搬送状況の年別推移熱中症による救急搬送状況の年別推移【引用】総務省 平成 29 年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況

右側の初診時における傷病程度のパーセントでは、搬送後の初診時で平成25年から29年まで死亡率に大きな変化はありません。

そして、食塩摂取量の推移です。

食塩摂取量の推移
【引用】塩事業センター統計データ内「国民健康・栄養調査報告」「日本人の食事摂取基準」厚生労働省より

厚生労働省の熱中症による死亡者数と総務省の年別推移に当たるのは、平成20年から29年で、1日あたりの食塩摂取量がかなり下がってからであることがわかります。

でも、冒頭のこちらのグラフと比べると、平成6年から19年にかけては例外もありますが、食塩摂取量の現象とともに熱中症での死亡者数が増加しているようにも見えます。

熱中症死亡数年次推移

例外と思われる平成6年は、40度以上の最高気温が3箇所で確認されたほどの猛暑で、19年は熊谷市と多治見市でそれまでの最高気温を更新し40.9度が観測された年です。

私が心配なのは、近年多くの熱中症による死亡者を出した年と、平成6年の死亡者数を比べた時、最高気温自体が40度以上の同レベルだとすると、塩分摂取量が多い平成6年の方が死亡者数が少ないという見方ができてしまうと、間違った減塩ブームが熱中症被害を拡大させている可能性があるかもしれないという点です。

地域や年代による違いもあるかもしれませんが、効果がないどころか悪影響を及ぼす可能性のある減塩ブームのせいで、守れたはずの命が守れなかったのだとすると大変残念でなりません。

あくまで、私の推測の域を出ていませんが、
間違いないのは塩分をカットしてはいけないということです。

変なブームに左右されず、暑い夏を乗り切るために積極的に塩分を取ることが、
とても重要だということを忘れないようにしたいと思います。