ノンアルコールビール:健康的なビールの選択肢
ビールが好きな人は多いですよね。人によって「のど越しが良い」とか「苦みが好き」といった好みは様々ですが、現在は健康志向が主流となっており、健康を気にする人にとってアルコールの摂取は良くない選択肢です。そのため、最近はノンアルコールビールが注目を集めています。ノンアルコールビールは、アルコールが含まれていないため、健康的で、様々な味が楽しめます。この記事では、ノンアルコールビールのメリットとデメリット、おすすめのノンアルコールビールなどについて紹介します。
ビールが好まれる理由
ビールが好まれる理由は、人間の味覚が成長するにつれて「苦味」をおいしく感じるようになることが関係しています。人間の味覚の「甘味」「塩味」「旨味」は、子供でもおいしいと感じることができますが、大人になると「酸味」や「苦味」までもおいしいと感じるようになり、ビールに限らずどの食べ物や飲み物でも苦味を好むようになります。また、ビールの苦みは香り付けに用いられるホップという植物から来ていますが、ホップには人に関する様々な健康効果が研究結果で出ており、不眠改善やダイエット効果などがあるとも言われています。
ところが、アルコールそのものは若干の甘みはあるものの、苦みや痛覚刺激(灼熱感)などが圧倒的に強く、本能的にほとんどの酒類はおいしくありません。しかし、毎日少しずつ摂取することで体が慣れていき、次第に飲めるようになっていきます。食行動心理学でいう「単純接触効果」というものにあたります。ビールは苦みを美味しく感じるようになった大人で、アルコール耐性の整った人にとって美味しく感じ、気軽に飲めて様々な食べ物に合うことで好まれると思われます。
さらに、飲み会などでは、「とりあえずビール」や「ビールで乾杯」など、ビールがお酒の中でもスタンダード化している雰囲気を感じることがあります。
「とりあえずビール」と「ビールで乾杯」
ちなみに「とりあえずビール」という言葉は、多人数の飲み会などで一人一人飲み物を決めるのに時間がかかってしまうため、最初に飲むものをとりあえず決める必要があったことから定着したようです。また、昔はハイボールやチューハイ、サワーなどがメジャーではなく、ビール以外のアルコール飲料で焼酎や日本酒などは、それほど女性や若者などに人気がなかったことも理由の一つだと思います。しかし、多様化が進んでいる現代は、とりあえず決めるようなことをせず、自分の好きなものを頼む人が増えてきているようです。
そして、「ビールで乾杯」という言葉ですが、そもそも日本には「乾杯」をする文化がありませんでした。しかし、明治時代に欧米から「Toast」文化が入ってくると、「乾杯」という言葉が広まりました。「Toast」とは、「乾杯」の際に行われるスピーチのことを指します。乾杯には一定の格式があり、場合によっては特定の人がスピーチをすることが求められます。Toast文化は主に西洋諸国で根付いていますが、現在では世界中で広く行われており、英語圏の貴族階級が17世紀頃から始めたとされています。当時、「乾杯」の際には、杯を交わすだけではなく、参加者全員が順番にスピーチを行い、それぞれの思いを語り合う習慣がありました。この習慣が次第に形式化され、スピーチに特化した「Toast」文化が生まれたとされています。また、Toast文化の語源については、諸説ありますが、一般的には「トースト(toast)」という言葉は、かつて「乾杯」には必ずといっていいほどパンが添えられたことに由来するとされています。スピーチを行う際には、パンを「乾杯」杯に入れて、酒に浸してから飲むことが一般的でした。このため、「トースト」は、パンを「乾杯杯に入れて焼いたもの」だったことから、「乾杯」スピーチのことを指すようになったとされています。メジャーな飲み物で気軽に飲み会をスタートさせるには、ビールで乾杯はとても相応しいですね。
ノンアルコールビールのメリット
ノンアルコールビールは、アルコール度数が低いまたは全く含まれていないビールです。普通のビールと比べると、アルコールの量が少ないため、健康に良いとされています。以下に、ノンアルコールビールのメリットについて詳しく説明します。
健康的である
ノンアルコールビールは、アルコールが少ないか、全く含まれていないため、アルコールを含むビールと比べるとカロリーや糖分が少なく、体に優しいとされています。
一般的に、アルコールを含まないビールは、アルコール度数が0.5%以下であるとされています。このため、ノンアルコールビールは、アルコールを含むビールと比較して、カロリーが低く、糖分も少ない場合があります。例えば、一般的なビールの場合、アルコールによるエネルギー量が高く、1杯(約350ml)あたり約140-150kcal程度になりますが、ノンアルコールビールの場合は、商品によって異なりますが、1杯あたり0-15kcal程度に抑えられることが多いです。
また、ノンアルコールビールには、大豆や麦芽などの原材料から作られているため、栄養素が豊富であるとも言われています。特に、ビタミンB群やミネラル(カリウム、マグネシウム、リン、亜鉛)が含まれており、代謝に必要な栄養素として役立つとされています。ただし、一方で、一部のノンアルコールビールには、糖分や添加物が多く含まれている場合があるため、食品表示や成分表示を確認することが重要です。
総じて、ノンアルコールビールは、アルコールを含まないため、体に優しいとされていますが、栄養素が豊富であることも特徴的です。
運転する人やアルコールを避けたい人に適している
ノンアルコールビールは、アルコールの含有量が少ないため、飲んでも酔わず、運転することができます。これは、多くの研究で支持されている事実です。
たとえば、2014年に英国政府の公共健康機関であるPublic Health Englandが実施した調査では、アルコールを含まないビールを飲んだドライバーの運転能力が、アルコールを含むビールを飲んだ場合と比べてほとんど影響を受けなかったという結果が報告されています。また、2018年には、アルコールを含まないビールを飲んだドライバーが、アルコールを含むビールを飲んだドライバーと比べて、車両操作に必要な反応速度が速く、運転ミスが少なかったという研究結果が報告されています。
さらに、ノンアルコールビールは、アルコールを避けたい人や妊娠中の女性にも適しています。これは、アルコールを摂取することが健康に悪影響を与えることが知られているためです。例えば、アルコールの過剰摂取は、肝臓や脳に悪影響を与えることがあり、さらに、アルコールの過剰摂取によって、慢性的な疾患や健康問題のリスクも高まるとされています。
総じて、ノンアルコールビールは、アルコールを含まないため、運転する人やアルコールを避けたい人、妊娠中の女性に適しています。ただし、アルコールが含まれていなくても、飲酒経験のある方にプラシーボ効果でほろ酔い状態になる方もいますので、運転をする場合は注意が必要です。また繰り返しになりますが、一部のノンアルコールビールには、糖分や添加物が多く含まれている場合があるため、食品表示や成分表示を確認するようにしてください。
酔っ払わないため、朝まで頭がすっきりしている
ノンアルコールビールが酔っ払わないことは広く知られていますが、実際にその利点がどの程度あるのか、また朝まで頭がすっきりする理由は何なのかについて詳しく見ていきましょう。
ノンアルコールビールは、アルコールが少ないため、酔っ払うことがありません。アルコールを摂取することで、体内に入ったアルコールが肝臓で分解される際に、アセトアルデヒドという有害な物質が生成されます。アセトアルデヒドは、頭痛や吐き気などの二日酔いの原因となるほか、肝臓や脳に悪影響を与えることがあります。しかし、ノンアルコールビールにはアルコールが含まれていないため、アセトアルデヒドの発生もなく、二日酔いのリスクも低くなります。
また、ノンアルコールビールには水分とビタミンB群が豊富に含まれています。ビタミンB群には、疲労回復やストレス緩和に効果があるとされるビタミンB1や、新陳代謝を促進するビタミンB2、肌や粘膜の健康に必要なビタミンB6が含まれています。また、水分補給も十分に行えるため、アルコールを摂取した場合に比べて、体が乾燥することもありません。これらの成分が、翌日の朝まで頭がすっきりする効果をもたらしているとされています。
以上のように、ノンアルコールビールは酔っ払わず、朝まで頭がすっきりする利点があります。しかし、ノンアルコールビールを飲んだとしても、適量を守ることが大切です。飲み過ぎないようにしましょう。
普通のビールと同じように、食事と一緒に楽しめる
これまでノンアルコールビールはアルコールを含むビールと比べて、味があまり良くないとされてきました。しかし、最近のノンアルコールビールは、味や香りが進化し、普段飲んでいるビールと遜色のない味わいを楽しむことができます。
アルコールを含む普通のビールは、辛い料理や、肉料理などによく合うと言われていますが、ノンアルコールビールも同じように、辛い料理と相性が良く、辛味を和らげる効果があります。また、ビール特有の苦味やコクもあり、飲みごたえがあるため、ステーキやハンバーグなどの肉料理や、シーフードやサラダなどの軽い食事にも良く合います。
ノンアルコールビールも今では種類が豊富で、様々な味があります。例えば、ドイツのビールブランドであるビットブルクは、ノンアルコールビールにもかかわらず、普通のビールにも劣らない、その味わいの豊かさで有名です。また、アメリカのサミュエル・アダムス社は、ノンアルコールビールの中でも特にクオリティの高い製品を提供しています。これらの製品を含め、様々なメーカーが、新たなノンアルコールビールを開発し、その味わいは進化し続けています。
以上のように、ノンアルコールビールには健康的である、運転する人やアルコールを避けたい人に適している、酔っ払わないため、朝まで頭がすっきりしている、普通のビールと同じように、食事と一緒に楽しめるというメリットがあります。しかし、ノンアルコールビールにはアルコールが含まれていないため、アルコールの効果を期待して飲む人には物足りないかもしれません。
おすすめのノンアルコールビール
世界の代表的なノンアルコールビールの人気順は、以下の通りです。
サントリー ALL-FREE (オールフリー) – サントリー
アサヒ ドライゼロ – アサヒビール
Heineken 0.0 – ハイネケン
Erdinger Alkoholfrei – エルディンガー・ヴァイスブロイ
Clausthaler – クラウストーラー・ビール
Bitburger Drive – ビットブルガー
Beck’s Blue – ベックス
Franziskaner Alkoholfrei – フランツィスカーナー
Jupiler 0,0% – インベブ・ジャパン
Estrella Galicia 0,0 – エストレージャ・ガリシア
これらのビールは、世界中で愛されており、健康志向や運転時にも人気があります
以下は、2023年3月現在の日本で人気のあるノンアルコールビール、ベスト3です。
1位:サントリー ALL-FREE (オールフリー)
2位:アサヒドライゼロ
3位:Veritasbrau(ヴェリタスブロイ)
日本で人気のあるノンアルコールビールのベスト3は、サントリー オールフリー、アサヒ ドライゼロ、そしてドイツのヴェリタスブロイです。回答者の約4割がオールフリーに投票し、約3割がドライゼロに投票したため、これら2つの商品が人気を博しています。ヴェリタスブロイは、世界でもビールに近い味わいが楽しめると言われ、日本国内でも人気があります。
結論
ノンアルコールビールは、普通のビールと同じように楽しめる健康的な飲み物です。味は普通のビールとは少し違いますが、その分、飲みすぎの心配がないため、安心して楽しむことができます。車の運転をする方や妊娠中の方、アルコールが得意でない方、翌日の予定が気になって飲めない方などは、これからは、是非ノンアルコールビールを選んで、健康的にビールを楽しんでみてはいかがでしょうか。