アルコール依存症の恐怖 5
アルコール依存症が私をも蝕む
アルコール依存症の怖さは、当事者でないとわかりませんが、その当事者自身も過去を振り返ることで怖さを認識するだけであって、現在進行中のアル中家族は、異常に気づかぬ地獄の日々を送っています。
依存症は、アルコールだけではありません。
タバコもゲームもスマホも、中毒になってしまうような要因はあらゆるところにありますし、欲求をコントロールすることはなかなか難しいと思います。
自らの意志だと思っているその行動が、中毒によって突き動かされているものだとすれば、人間の意思というものが、いかに脆くあやふやなものであるか・・・・。
伯父との生活の中で、私は必死に働き稼ぎましたが、そのお金はタバコとアルコールに費やされ、生活はますます苦しくなっていきました。
無くなってしまったお金を嘆いても、1円も戻ってくるわけがありませんし、前に進むしかなかったので、とにかく消費を抑えて必死に働きましたが、伯父を養うだけの稼ぎはありません。
遂には職場に給料の前借りまでしてしまいました。
伯父の依存症は、伯父の体を蝕むだけではなく、いつしかその異常性が私の精神に伝播していたのかもしれません。
なぜか、伯父を拒否することができなくなっていました。
終わらない負のスパイラル
しかし、さすがに酒の飲み過ぎを注意したり、お金をせびられても貸せるお金がないため渡せなくなってくると、次第に伯父は私に話しかける事をしなくなり、よく一人で出かけるようになりました。
そのうち伯父から電話が入り、仕事が見つかったのでしばらく家には帰らないと言ってきたのです。
散々辛い日々が続いたので、正直ホッとしました。
伯父のことを心配する気持ちも沸いてきませんでした。
やっと一人になれたという解放感で、狭い六畳一間がとても広く快適に感じ、ギターもビデオも電話の権利もありませんでしたが、とりあえず気持ちが落ち着きました。
仕事も、丁度お休みをいただいていたので、家でのんびりしていたある日、職場から電話がありました。
先輩「フリオくんの伯父さんという方がきてるんだけど」
フリオ「え!」
先輩「なんか、フリオくんの給料の前借りをしたいって言ってるんだよ」
フリオ「え!!」
先輩「ちょっと、困ってるんだけど・・・・」
想定を超えるというのは、こういうことです。